オリエント工業の事業終了につき、思い出をつらつら語るだけの記事
オリエント工業が終業すると知ったのはAIイラストの掲示板を流し読みしている最中でした。
…え? …は?
いやここAIイラストのスレだよな? なんでラブドールの話してんだ?
アレか、スパムbotの書き込みか。
でも一応、オリエント工業のHP見ておくか。ホント一応だけど…。
おそるおそるオリエント工業のHPを開くと事業終了のお知らせが目に飛び込んできました。
引用元:https://www.orient-doll.com/newsSingle/?no=436
…マジだった。
オリエント工業を知ったキッカケ
長年当ブログを読んでくださっている方には耳タコの話で申し訳ないのですが、ぼくがオリエント工業を知ったのはAIBOがキッカケです。
ぼくは20代の頃に1度結婚しているのですが、無趣味でお金を使うこともなかったため、結婚を機に住宅ローンを組み、嫁さんには出来れば専業主婦になってほしいとお願いしました。
自宅で一人は寂しいのでペットが飼いたい、という彼女にもちろん賛成しましたが、過去に2回ほど飼い犬との死別を経験しているのと、躾、散歩、病気等、命を預かるというのはとても大変だと理解していたので、そのあたりをきちんと調べてから飼おうね、と約束しました。
そしてそんなタイミングでテレビCMだったと思いますが、ソニーのロボット犬AIBOが登場。
うーん、これは違うよね、とお互いに笑いつつも、どこまで本物の犬に近いのか気になったため、一緒に並んで様々なWebサイトを閲覧しました。ソニーのページはもちろん、実際にAIBOを購入した人のレビュー、そして当時から既に蔓延の兆しを見せていた「まとめサイト」。
そこで衝撃の出会いをします。
そのまとめサイトでは、軍用ロボットのビッグドッグ の動きがきもいwwwみたいな煽りタイトルで紹介されていたと記憶しています。たぶん、AIBOのスレからリンクが貼られていたのでしょうね。
そして、コメント欄では「オリエント工業にガワ作らせろよ」とありました。
へえ、そんなロボット技術を持った企業があるんだ?と二人してオリエント工業のHPを開き、固まりました。
画面一杯に広がる素っ裸の女の子たち。
頭の中は真っ白ですが、「ラブドール」という単語を見て、あぁ!あぁ!これダッチワイフってこと???とようやく理解。
あわててページを閉じようとしますが、すごい勢いで嫁さんの手が飛んできて、マウスを止められます。
「ちょ、ちょっと待って!もっと見せて」
…こういうのは女性のほうが興味津々なんだと知った瞬間でもあります。
その後はなんやかんやあって、離婚して独り身に戻るわけですが、せや…せっかく独り身だし風俗でも行こうかなぁ~などとネットを彷徨っているときに、「仮性包茎は皮オナニーするな!悪化する前にオナホを使え!」という煽りタイトルにまたまた釣られ、「オナホ使うならLOVEBODYが最適!」というタイトルにもホイホイ釣られ、気が付けばラブドールデビューを果たしていた、というわけです。
2009年11月の出来事でした。
メジャーよりもマイナーを選びたいけどどちらも知っておきたい複雑な気持ち
根が天邪鬼なのでしょうか、一番売れている!と言われると2番か3番を選びたくなってしまうことが多いです。
ラブドールも同じで、当時からオリエント工業が一番というのはわかっていたのですが、オリエント工業に迫る造形美と、それを上回る柔らかさという触れ込みのシリコンアートが気になって気になって仕方がなかったため、初のシリコンドールはシリコンアート製を選びました。
しかし、こうした評価が出来るのは両方知っている人だけなんですよ。
自分は片方しか知らない。オリエント工業はどうなのだろう。
実物を触ってみたいけれど、ショールームへ行ったらきっとそのままお迎えしてしまうから…とグッと我慢していました。
そんな折、オリエント工業が10万円を切るぬいぐるみドールを出したぞ!と話題になりました。
造形美に定評のあるオリエント工業が作ったソフビ製ヘッドに、軽くて柔らかいぬいぐるみボディ。
え、なにそれ、最強じゃん? 即座にポチりました。
2010年10月末のことです。
ララドールのレビューを匿名でブログにアップしたら、「文体からしてジジさんですよね?」と秒でバレて、当ブログを再開するきっかけにもなりました。
オリエント工業のショールームには特別感が確かにあった
ララドールをお迎えしてから更に半年ほど経った2011年3月末のことです。
知人が開業するというので無利子でお金を貸し、まぁどうせ戻ってこないだろうなと思っていたお金がきちんと戻ってくるという奇跡が起こり、ホクホク顔のぼくはお金を受け取ったその足でオリエント工業のショールームを予約してしまいました。
当時、オリエント工業のショールームには「ちんこおじさん」と(一部で)呼ばれる名物おじさんがおり、「どうですか、興奮するでしょ!」とか言いながらちんこ叩いてくるおじさんがいたのですが、ぼくはこのおじさんがとても好きになりました。
…断じてホモじゃないよ?
この話も過去に何度か書いていて、そのたびに嫌悪感をあらわにする人もいるので、ダメな人はまったくダメなんでしょうけど、自分はそういう昭和のノリはワリとオッケーだったりします。
オリエント工業のショールームって決して広くはないのですが、内装やらライティングやら、ドールのポーズやら、特別感を出すための努力が確実に感じられるところなんですよ。
下手するとそういった特別感をふっとばす勢いのちんこおじさん。ぼくはそのギャップが笑えてきて、この人が営業するなら買っちゃおうかなという気になりました。
最初は買うとしてもnanoシリーズ(ボディだけシリコンで、手足はソフビの軽量ドール)にしようと思っていたんです。しかし…
「ジュエルはいいですよー!頑丈だし!見てくださいよ、このショールームでずっと立ちっぱなしなのに、傷ひとつついてないでしょ?」
と、すごーく嬉しそうに語るおじさん。
なんだかぼくまで嬉しくなってきて、「じゃあそれください」と答えていました。
お値段583,000円
セール中だったので、いつもよりお安く買えました。
2018年頃から「ラブドール」の検索結果がおかしくなりはじめた
ジュエルをお迎えした2011年から一気にすっ飛ばしますが、当時は読者の皆様のお迎えレポート※を掲載しており、オリエント工業だけでも23件のレポートを掲載してきました。
※ラブドール紹介(オリエント工業)
その間、様々なドーラーさんと交流してきましたが、そのうちの一人から、ラブドールで検索しても聞いたことない店ばかり出てくる…という愚痴を聞き、ぼくも実際に検索してみて愕然としました。
ぼくが知っているのは2009年~ですが、「ラブドール」と検索したら、必ずオリエント工業が1番目に表示されてきました。そのことに何の疑問も感じなかったし当たり前だと思っていました。
それが2018年頃から徐々に押されはじめ、1ページ目どころか、2ページ目3ページ目に追いやられることが増えました。
Googleは常々コンテンツ制作者に対して「SEO対策なんて考えないで、良いコンテンツだけ作ってくれればそれを評価するのが検索エンジンだ」みたいなことを言い続けてきました。
その結果がコレです。SEO対策会社に荒らされまくり。
ですから、ぼくも微力ながら通報しまくりました。
2019年~2020年あたりだったと思いますが、オリエント工業が1番目に戻ったことを確認し、ホッと一息ついていましたが、しばらく経って見てみたら、またただの販売店が1番上…。
いいですか、オリエント工業は1977年からラブドールを製造し続ける老舗中の老舗ですよ。
それがラブドールの検索で1ページ目にすら出てこないってどんなクソ検索エンジンですか、Googleさん。
通報しても通報しても、SEO対策会社のbotパワーに負けます。
そうしてぼくは考えるのをやめました。
いつか、ラブドールの起源は中国である、と自信満々に言われるのだろうなぁ、と悲しく思いつつ。
AIとロボット時代の幕開け
今朝、このニュースが飛び込んできて、「朝っぱらから民放にラブドール出てる…」と唖然としました。
皆さまご存知アルテトキオことEX DOLLことEX ROBOT。
競合の多くなったアダルトに見切りをつけていち早く一般路線へ注力する手腕は見事だよなーと思います。
これからはAIの時代、みたいに言っているのは甘すぎで、既にAIの時代の真っ只中であり、あとは使いこなせるか時代に置いて行かれるかという状況なのですが、その話はオリエント工業の話からは逸れるのでいったん置きます。
それよりもコメント欄で「中国ってダッチワイフが超リアルじゃなかったっけ」みたいに言われていることが、まぁ興味ないとそんなもんだよなーと理解しつつもやるせない。
別の動画でもオリエント工業にここを買収させろ、みたいなコメントとか、もちろん何も考えずに書いているだけだとは思うけど、モヤっとする。
オリエント工業の終業を知って、はじめて意外と小さな会社だったんだ…と知る人もちらほら。
「オリエント工業」という抜群のネーミングセンスとブランディング力だった有限会社ツチヤ商会の目論見どおりだったのか、誤算だったのか。
小さな市場で薄利多売をしても先はない、と考えるのは当然のことです。
だから高級感を出して商品価値を高めて利益率を確保する。ぼくらIT業界でも当たり前のようにやる戦略です。
しかし中国のパワーがヤバすぎる。
小さな市場で薄利多売が無理なら、市場を広げよう、というパワーがすごい。
普通はそんなこと出来ないけど、マンパワーでやっちゃう。欲しいと思う人がいないなら、欲しがるようにしよう。人気のインフルエンサーに買ってもらって紹介してもらおう。インフルエンサーがいないなら自分たちで作ろう。
こんなこと普通はできないよねぇ。でもやっちゃう中国パワー。
そして市場が広がり、多くの人がラブドールをお迎えするようになる中、今までだったらちょっと無理すればオリエント工業のドールが買えるかも?という人も、その金額で、2体も3体も買えるならそっちにしようか、と流れる。
それが悪いとは言いません。
ぼくも昔はブログで、10万円以下のぬいぐるみドールか、60万円以上の高級ラブドールしかない現状をなんとかしてくれ!中間価格を用意しろ!と言い続けてきました。
アルテトキオが登場して、30万前後の価格帯が入ったことで、これで裾野が広がる…と喜んだのも束の間、あっというまにぬいぐるみドール以下の価格でシームレスドールが手に入るようになってしまいました。
消費者としては正直ありがたいけど、経営してるほうはたまらんだろうなぁ。想像するだけで胃が痛くなります。
後継者問題
巷でよく言われていることですが、日本の中小企業に後継者がいないという問題があります。
オリエント工業に限らず、日本のラブドールメーカーは続々と廃業し、事業を引き継ぐ人がいない。
ドールと全然関係ありませんが、ぼくも17年ほど経営していた会社を畳んだばかりです。
ほかの会社の事情は知らないけれど、うちの場合は単純で、株式を買い取る財力を持った人がいないからです。
最近は資本金なし起業なんて意味不明なことが出来るらしいですが、ぼくのときは1000万円の資本金が必要だったので、全株式を取得してオーナー企業を作りました。事業を引き継ぐ場合、当然この株式を買い取ってもらわないといけません。会社名義の資産もあるしね。
自分に血の繋がった子供でもいるなら、親族内承継で良い話ですが、そうでない場合は、ちゃんと資金力のある人にしか会社は譲れないんですよね。
そんでもって貯蓄のある人が少ないです。おかしいなぁ…日本人の富裕層は増えてるハズなんだけど…富裕層どこー?!
ともあれ、オリエント工業が事業引き継ぎをしなかったのは本当に残念です。
ラブドールに興味ない人まで名前だけは知っているという超有名ブランドです。喉から手が出るほど欲しい企業あったんじゃないかなぁ。
それとも、買収で入るお金よりも、綺麗に畳むことを決意したということなのでしょうか。
体調のことにも触れられていますし、並々ならぬ決意だったのだろうなぁ。
まとめ
タイトルどおり、本当につらつら思い出を語っただけですが、ただただ悲しい…というよりも、なんだか胸にぽっかりと穴が空いたような感覚です。失恋のような…?
そうかぁ… オリエント工業… なくなるのかぁ…












